カツカツ、と病院には不釣り合いなヒール音を響かせて俺のそばのベンチへ腰かけた彼女。 すらりと長い脚を優美に組んで、その目力のある瞳をこちらへ向けた。 「なかなかイイ男になったわね、あんた。まぁ、小さい頃から綺麗な顔立ちしてたものね」 「…………」 言葉を失う。 仮にも事故にあったのは自分の娘だというのに、最初に俺に言うことはそれか? じわりじわりと、胸の奥から込み上げるそれを。 俺は平気なふりして押し込めた。