ノスタルジア







この人は、知景(ちかげ)といって一週間に一度、今日のように大きな段ボールを抱えてこの家に訪問してくる。




段ボールの中には、一週間ぶんの食料やティッシュやシャンプーだったりと生活に必要なものなど。





澪や私が外に一歩も出なくても、この家で生活できるのは。




彼がこうやって生活必需品を届けに来てくれているからなのである。







「いつも悪いな」



「やめろよ、澪が言うと気持ちわりぃ」



「……もう言わねぇ」



「アハハ」






何か美味しそうなものはないかと、知景の持ってきた段ボールを漁っていると。



そんな会話を交わしながら、たぶんお金が入っているのであろう茶封筒を澪が知景に渡す。





ここ数週間では、見慣れた光景だ。