「おはよう、キキ」 柔らかくそう呼んだ彼の声を。 何故だろう。 愛しいと感じた。 「僕は澪(みお)。君はキキ。分かった?」 何も分からないまま、頷く。 分からないから、この人に聞いてみよう。 とは思わなかった。 何を聞いたらいいのかすら、私には分からなかったから。