ノスタルジア






「アヤノ……」



「分かってる。言わないで」






同情はしない。



彼女もそれを望まない。







俺は、ちょっとだけ元気のなくなったアヤノを自分のほうへと引き寄せた。





ふわりと、シャンプーのようないい香りがする。





「分かってるの。ただ、いらなかったから偶然そこにいたあたしにくれただけ。"プレゼント"だなんて言えるようなものじゃない」




「……うん」




「きっとお母さんが身体を売ってるどこの誰かも分からないおじさんがお母さんにくれた、ただ値が高いだけの価値のないもの」




「そうだね」






くしゃりと彼女の髪を撫でて、俺は頷く。