やめてくれ、むしろ戸惑いたいのは俺なのに。 ハッとして、すぐに薄く笑みを浮かべた。 「アヤノどうしたの、それ」 「……お母さんがくれた」 「!」 「でも、くれるときに"私の趣味じゃないから"って言ってたし……たぶんお客さんからのプレゼントだと思うけど」 そう言った彼女は、自嘲気味に笑う。 彼女の母は売春婦。 どちらかといえば、アヤノに愛情はなく。 ただ生活を共にしているだけの"他人"なのだと、彼女はよく言っていた。