ふわりと揺れた、澪の赤毛。 少し冷たい春の夜風が私たちを追い抜いていく。 「不思議な話だ。 俺は自分で作った物語の主人公に なりたいのに。 その物語の中の俺は きっと物語を作る俺になりたがる。 どっちの俺もバカなのさ。 どっちの道を選んだって そこには苦痛しかないのに」 「…………」 「……なんて、難しいよなごめん」