……あれは夢? あの部屋で起こったはずの、怖い出来事。 だけど、あまりにもそれは鮮明に記憶に残っていて。 ふと、壁にかけてある鏡を見る。 そこに映る私の胸元には。 あれは夢なんかじゃなかったという紅い痕が、しっかりと彼によって残されていた。 「…………」 夢なんかじゃない。 それは確かなことなのだけれど……。 胸のなかにある違和感が、なんだか気持ち悪い。