「物語を自分で作れるのは、とてもいいことだと思うんだ」 カランと音をたてて、澪の持つグラスの氷が揺れる。 「物語は、自分の思ったように話を進められる。 時に、納得のいかないストーリーができあがっても それをまた白紙に戻して また好きなように書き直せばいい。 人は、物語の中でなら いくらだって好きなように世界を変えることができる。 何回だって、やり直せる」 グラスに入ったお酒を一口飲んで、彼はまた続ける。 お酒のはいった澪は、少しおしゃべりだ。