【短】ハロウィン*マジック

しばらくして、少しだけ身体を離された。


寒さと寂しさで物足りない顔をしてしまったかもしれないので、慌てて引き締めた。


そんな私の顔を美春が覗き込んでくる。



「俺のこと、好き?」



「………うん…」



視線を合わせずに下を向いて答えれば、また両頬に手を添えられて上を向かされる。



「ちゃんと言えるだろ?」



「………す……好き…」



「よく言えました」



嬉しそうに笑った美春が、また顔を寄せてきた。


そして――、


おでこに、まぶたに、ほっぺに、美春の柔らかい唇が優しく押しあてられる。


今まで唇以外にそんなのされたことなかったから、ビクリと身体が強張る。


だけど顔中に降り注ぐキスに、いつしか力も抜けて、もどかしいくすぐったさに笑ってしまった。