【短】ハロウィン*マジック

「……どう…かな…?」



「ん、うまいよ」



美春がそう言ってくれた途端、胸に安堵の波が広がった。
また嘘かもしれないけど、それでも良い。

無意識に止めていた息をゆっくり吐く。



「…じゃあ、バレンタインも作ってあげてもいーよ」



「楽しみにしてる」



……上から目線で言ったのに。

なんで、いつもみたいに言い返してこないの?


調子狂う…



どうすればいいかわからなくて、じいっと美春を見つめる。



「………」



クッキーを食べながら顔を上げた美春と目が合った。



「どした?」



「べ、別にっ」



目が合った瞬間、また心臓が大きく跳ねて、すぐにそっぽ向いて視線を逸らした。