カタン、と氷水の入ったグラスから、氷の溶けゆくかすかな音がした。

 じっくり見つめたら、氷から小さな小さな泡が出ているのが見えた。

「この前の続き、書いてみた」

 友人に連絡をとり、今日、また会ってもらった。

 黒いクリップではさんだ紙の束をわたすと、友人は両手でそれを受けとり、読み始めた。

 あとは読み終わるのを待つだけだ。


 ケータイ小説サイトに文章を載せると、その瞬間からひとつの作られた世界も、登場人物たちも、自分の手元を離れていく。もとはといえば私の頭のなかにあったもので、空想なわけだ。それが誰かの頭のなかに、なんて思うと、形のないものに形が宿ったような、ちょっと不思議な気分になってしまう。

 あれはもう何年前だろう。最初に書いて完結までたどりついたものは、感想掲示板に批判的な書き込みをいただいた。

 だいぶ前なのではっきりおぼえてないけど、そのうちのひとつは、確か、

「そんなに死にたかったら、胸の真ん中を自分で突き刺せばいい」
 と。

 これは感想として1とカウントすべきだろうか。