放課後ラプソディ

 助ける? いじめは悪いことだからやめよう?

 じゃあてめえにはなにができるんだよ。本当に正義をつらぬいたらそいつがボロボロになるじゃないか。冗談じゃない。リスク高いんだよ。

 先生だって、教師の免許持ったのなら、自分のクラスのトラブルぐらい解決してみせろ。なにもかも終わったあとで責任をなすりつけあって、落としどころどう持っていくか考えたって、遅すぎるんだよ。大人の本気見せて、子供の信頼とれよ。目にもの見せられたことがねーんだよ、一度も。

 そうして、僕に残ったのは、なんなのかと考えたら、……罪悪感だった。時間が経っても、まだ、ちょっとしたきっかけで、あいつと音楽室がセットになった光景がよみがえってしまう。

 どこにも行けない、どこにもやれない、きっとそういう思いは自分がうまいこと処理するしかない。でも、どうやって?


「ちょっと、六坂?」

 六坂に中村が話しかけている。

 泣いているのか。

 そのとき、六坂が僕の視線に気がついた。

「……なに見てんだよ。帰れよ」

「別に見てないよ」

 これはかかわらないほうがいいな。なんか表情が危険だ。

 帰ろうとしたら、ガタガタガタッ、と机にぶつかりながら六坂が来た。

 ゴキ。

 顔が痛い。

 殴られたのか。