放課後ラプソディ

 たぶん、篠原さんは男子にモテる。そして自分がかわいいとわかっている人だ。

 別に、あたしが篠原さんに対して、劣等感があるとか、卑屈になっているとか、ひがんでいるとかではなく、態度に自然とにじみ出ているというか。自信がある人は違うな。

 篠原さんとなにか話しているヨモギは、うーん、失礼だけど、篠原さんと釣りあわない。

 ほかの男子に陰で嫉妬されていそう。


「なーなー、おまえらって付き合ってんの?」

 おや、男子が二人をからかおうとしている。しっかしあの言い方子供っぽいな。

「えー、違うよ」

 すかさず篠原さんが否定する。

「二人でネガティブかるた考えたりしてただけだよ」

 ヨモギが言った。

 ネガティブかるたってなんだ。

「あーもうあっち行ってよ邪魔くさい。ただの友達だよ」

 心底ウザそうな表情で、しっしっ、と右手を振って、篠原さんが男子を追いはらってしまった。

 ほんの数分で、からかおうとして失敗した男子二人は去っていった。いやあ、お見事。そのうちの一人が「なんだよ、ネガティブかるたって」と言っているのが聞こえた。