わたしは、たとえ流行っていても、自分に合うかどうかをまず考える人でありたい。

「流行だから」「ブームだから」「売れているから」「みんなもやっているから」そうやって、自分で考えないのは楽だ。けど、考えないと他人の考えのみになって、自分がなくなっていく気がする。

 で、そんな私が、芸人さん好きだなんて知られたら、いろいろと不都合が出てくる。また、なにか言われたくない。


 顔がいい芸人さんが、自分のことを「僕イケメンですから」なんて言うと、それはおもしろいと判断されて許される。

 でも、それを女子が、例えばわたしがやったら、それは反感を買う発言になってしまう。

 どうしてほかの人と違うところを見せてはいけないのか。

 日本だから? 日本だけなの?

 そんなんだから世界と戦えないんだよ。没個性なんてつまんないのにさ。


――


「すごいぼーっとしてるな」

 六坂が前から近づいてきた。

 あたしが見ていたのは、ヨモギと篠原さんだ。

「あの二人、仲いいなーと思って」

 六坂はあたしの視線をたどって、二人を見た。

「ああ、少女革命ウテナとか言ってたなー」

「え?」

 いつだったか、それ聞いたような。

「藻木が言ってたんだよ。そのアニメの話を篠原さんとしたんだって」

「ふーん」