放課後ラプソディ

 それから、ヨモギに借りた「カウボーイビバップ」のDVDを見た。

 ヘッドホンをテレビにつないで、カチューシャをつけるみたいに頭につけると、耳から入ってくる音は「カウボーイビバップ」のオープニングの曲になり、ジャズみたいな音楽で、家のなかの騒がしい音をほとんど遮断してくれた。


 うちは昔から、俺より先に姉ちゃんが生まれたからとか、俺が心を閉ざしているわけではないが、まず姉ちゃんが大事にされていたと思う。

 別に嫌じゃない。

 家族なんて、誰か一人ぐらい、ちょっとほかの家族と違う人がいて、というのはよくある話だろう。

 姉ちゃんの反抗期は、中学生のときだった。男の俺より言葉がきたなくなった。荒れて、家族とまったく話さなくて、母さんが心配していた。だからといって家出をして帰ってこない、というのはなかった。やろうと思えばできただろう。ケータイあるし。でもそこまでの行動に出なかったのは、姉ちゃんらしくて、ああきっと、こんな風に家族とどうやって距離をとればいいのか悩むのが反抗期なんだろうな、と自分もいつかなるであろう状態を、冷静に観察していた。