やれやれとアイラがため息をついた時、後方からライナスの声がした。

「そこの女たち、ご苦労だった。ついでに言うと、後から連れが連れてくる三人も仲間なのかな。途中でやりあったんだが」

 ライナスが一番冷静なようだ。もっとも上司をそこの女呼ばわりしたのだから、帰ってから叱責があるかもしれない。

「おや、昨夜の宿でもご一緒でしたわね」

 にこにこしながら、イヴェリンは身体を引いた。その目が笑っていないのがアイラには怖い。

「すぐに役人が来る」

 すぐにライナスに追いついてきたフェランは、縄に三人の男をくくりつけていた。強盗たちは二手に分かれていたらしい。

「襲われそうになったからな、ひっつかまえてきた」

 どうやら遅かったのは二日酔いだったためではなく、行き会った強盗を捕獲していたからのようだ。

「それでは、わたしたちはこれで。行きましょう」

 役人に関わるのは、得策ではないだろう。その場を離れようとするイヴェリンを、主が呼び止めた。