「ユージェニー、再会を祝って一杯やりたいところなんだが、君の都合はどうかね?」

「おあいにくさま。年寄りには興味ないの」

「それじゃ、このまま引き下がってもらえないかなぁ? この場で一発ヤってもいいけど、君も本望じゃないでしょ。あっちでぐずぐずになってる君の兵隊さんたちの後始末もしなけりゃならないし」

 ジェンセンの指の先がぱちぱちと光る。ユージェニーは肩をすくめた。

「いいわよ。あなたが言うところの、『一発ヤって』もよかったけれど、そこにいるのが皇女じゃないなら目的は果たせないものね」

 ユージェニーは、ローブの袖をばさりと翻した。次の瞬間、彼女の姿は消え失せている。

 やれやれ、と首を振ったジェンセンはフェランの方を振り返った。

「ああ、すまないね。そんじゃ、行こうか。君、娘を担いでもらえるよね? 年だから腰を痛めると困る」

 かまいませんよ、とフェランは返すと地面に落ちていたアイラの剣を拾い上げた。

「腰につけていた短剣とこちらの剣だけお願いできますか? さすがに全部を一度に運ぶのは無理なので」