「アイラ――頼める?」

 そう言った時には、エリーシャはばさばさと寝間着を脱ぎ捨てて、いつも後宮内で身につけているような裾を絞ったズボンと刺繍入りのブラウスに着替えていた。

 アイラにも似たような衣類が用意されていたから、それを身につける。

「光の精霊よ、アイラの名において命じる――我に偽りの姿を与えよ!」

 以前カーラに教わった呪文を繰り返すと、部屋の中が光に包まれた。エリーシャの方も同じ呪文を唱えている。

 アイラは目を見張った。互いの姿が入れ替わっている――アイラの目にはエリーシャの姿が自分そのものに見えた。

 さすがに寝る時までは、不細工メイクはしていないから、メイクを落とす必要まではない。

 髪の色と瞳の色を変えただけ――胸のサイズについてはあえて触れまい――で、これほど似るとは思ってもみなかった。

「剣!」

 エリーシャがアイラの方に剣を放り投げる。後宮内で襲われた時には短剣二本だが、ここでは長剣だ。