女子って本当に声のトーンとか表情とか人によってコロコロ変わるよね。

まあ、女子が全員そうだとは言ってないけど。


「なんかごめんね」

「え?」

なぜか突然圭吾くんに謝られた。

さっきの会話が圭吾くんにも聞こえていて私に悪いと思ったとか?それとも一瞬騒がしくなったから?

どっちにしても圭吾くんが謝ることなんてない。


「モテる人は大変だよね」

毎回笑顔で対応してるなんて偉いと思う。


「いや、モテてるっていうか、夏は水泳にスポットが当たりやすいから注目されてるだけで。夏が過ぎればそうでもないよ」

それでも、圭吾くんはモテる人だよ。


「彼女いないのがもったいないね」

自分の口から〝らしくない〟言葉が出てきてビックリした。

べつに深い意味はなくて、なんとなく自然な流れで出ちゃったっていうか……。


「じあ、すずちゃんが俺の彼女になってくれる?」

「え……え?」


心臓の速さとともに尋常じゃないぐらい目が泳いでしまう。

こういうのに慣れてないし免疫もないから、どうしたらいいのか分からない。


「はは。ごめん。困らせちゃったね」

「か、からかわないで……よ」

まだ私は圭吾くんの目を見ることができない。

……ああ、なんか暑い。


「すずちゃんは好きな人いないの?」

「いません」

まだ動揺してるって思われたくないから精一杯強めに返した。