「ただいまー…………あれ?」

いつものように玄関をくぐり、いつものような「おかえり」の一言を待っていたんだけど、一向に返ってこない。


でも鍵は開いてたし、靴もあるし。


寝てる?なら不用心だって注意しなきゃ。


「のぞみー?」

「凌斗さんおかえりなさい!!」



リビングに足を運ぶと、なにやら慌てた様子でキッチンからでてきた希美。



「…なんかあったの?」

「いやぁ、なんにも…」

「なんかあったんだね?」

「ないないないよー」

「本当に?」

「ないってばよ!!」

「…そうかいそうかい。」



…こりゃあなんかあったんだろうなぁ



基本的に隠し事のできない正直な子ですが、ここまであからさまなのは久しぶりだ。



前は俺に誕生日のサプライズをしようとしてた時にこんな状態になった。


明らかにそわそわしてて、楽しそうにうきうきしてて、『何かあるからね』と顔にもろに出てしまっていたけど、ちゃんと気付かないふりをした俺は偉いと思う。



嬉しいことを隠せないのがうちの嫁さんの可愛いところだ。