HRが終了し、生徒たちは1時限目の準備を始める。

それとは別に待ってましたと言わんばかりに女子生徒たちが天使…いや西野くんの周りに群がった。


「どこから来たの?」

「彼女はいるの⁈」

「礼央って名前かっこ良いね!」


などとお決まりの質問を西野くんにぶつける。西野くんはニコッともせず、"ああ"や"ふぅーん"などと言って話を聞き流している。

愛想というものを知らないようだ。



それでも女子生徒はめげずに声をかけている。逆にそのクールさが好きなようだ。


私は群がる女子生徒たちの間を縫い、西野くんに近づいた。



「西野くん、校内のこと知らないと思うから簡単に案内するわね。」

多分、この時の私の顔は引きつっていただろう。なるべく笑顔になるよう務めた。
女子生徒が"私が案内するー!"と口々に言う。


「皆さんはこれから授業でしょ?また昼休みにしなさい。」

と言うと、案外素直に"じゃあ、またあとでね"と辞退した。



「じゃあ西野くん、ついて来て。」

教室の外に出るよう促す。西野くんは無言で席を立ち私の後に続いた。