16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

答えない理由はないので、素直に名前を口にする。

この流れだと聞き返すのが当たり前だろうと、こちらからも訊ねた。



「私は――……」



彼女が口を開いたのと同時に、病室の扉が開いた。

そして、慌てた様子で高野君が中に入ってくる。



「あれ、高野君……?」

「早坂さん!さっき、倒れたって聞いて……」



高野君は息を切らせながら矢継ぎ早に言葉を並べ、目線を少しずらしたとき。

大きな目が、一層大きく見開かれた。



「……結城……?」

「高野……」



高野君は、彼女のものであろう名前を呟き、彼女もまた高野君の名前を呟いた。