願わくば、私がいなくなっても名良橋君が笑っていることを。



「……そう思えるのは、いいけどね。隠しても無駄だから言っておくわ」

「はい」

「思ったより、病状が悪化してる。私としては今すぐにでも入院してほしいくらいよ」



生きたい、だけど死は確実に近付いている。

こうしている今も、私を蝕んでいるんだ。



「……入院はしません。最後まで、ありふれた“女子高生”でいたいんです」

「……そう。でも2、3日は入院してもらうわよ。あと、薬増やすからね」



先生はそう言うと、踵を返して病室を出て行った。



そっか、もう本当に時間ないんだな。

改めて現実を突き付けられ、胸が苦しくなる。

皆ともう、いられない。