16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

だけど名良橋君は気にする素振りも見せず、由羽ちゃんの頬についたケチャップをとってあげていた。

うぅ、悔しいなぁ。

名良橋君って大人っぽく見えて子供だけど、子供っぽく見えて大人なんだよなぁ。



「あ、名良橋君の分忘れてた。今から作るね」

「んな急がなくていいから。寝てたからそんなに腹減ってないし」

「でも、迎えに行くのに沢山頑張ったじゃない。名良橋君だって、私に甘えていいんだよ」



踵を返し、キッチンへと向かう。

お腹を空かせているだろうとご飯を作ることに必死で、名良橋君がどんな顔で私を見つめていたかなんて、知る由もなかったんだ。





並んだご飯を全て平らげた名良橋君を前に、私はまだオムライスを頬張っていた。