16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

「……ねぇ名良橋君」

「ん?」

「……由羽ちゃんは?」

「あっ」



肝心の由羽ちゃんがいないことに気付き、私が玄関の扉を開けると。

小さな女の子が扉の前で、更に小さくなっていた。

この子が由羽ちゃんだろうと、その場にしゃがみこみ、目線を合わせる。

すると由羽ちゃんは、ビクッと体を震わせた。



「怖くないよ、由羽ちゃん。お姉ちゃんは、お兄ちゃんのお友達の由仁って言います」

「……ゆにおねぇちゃん……?」

「そう、由仁お姉ちゃん。お迎えに行くの、遅れちゃってごめんね?お姉ちゃんが今日お熱出ちゃって、お兄ちゃんがお世話してくれてたの」



まだ3歳の子が、その言葉の意味を全て理解しているかはわからないけど。

きっと私のお姉ちゃんなら、こう言うだろうから。