16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

電話を切ってから、名良橋君は慌てた様子で立ち上がった。



「どうしたの?」

「由羽の幼稚園から、迎えに来ないから由羽が泣いてるって連絡あって。飯どうすっかな、今日親遅いのに……」



今までずっとここにいたんだから、晩御飯なんて作っている筈がない。

きっと名良橋君、今かなりピンチ。

そう思った私は、名良橋君に幼稚園の場所を訊ねた。



「うちとここの間くらいだから……駅一つ分くらいの距離かな。そんなに遠くない」

「晩御飯はうちでも大丈夫?」



名良橋君は何かを察したように目を見開き、小さく頷いた。

だけどすぐに、首を横に振る。



「悪ぃよ、そんなの。間に合わなかったのは俺の責任なんだし」

「元と言えば、私の看病でしょ?私にも責任あるじゃん。ほら、早く行ったげて。私の自転車使っていいから」