16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

「だって、こんな美味しいもの作れるんだよ?理想のお兄ちゃんだよ」

「そんなことねぇよ。バスケばっかで構ってやれなかったりするし、飯事とかせびられても出来ないし」



照れ臭そうに頭を掻く名良橋君が可愛くて、つい笑ってしまった。

色んなものをくれる名良橋君に、私が返せるものってなんだろう――そう思ったら、考えるよりも先に言葉が口を衝いて出た。



「じゃあ私が一緒に飯事してあげる」

「え……?」

「そしたら名良橋君、妹さんのこと気にせずにバスケの練習出来るでしょう?それにほら、今一人暮らしだから気兼ねなく遊びに来れると思うし」



考えなしの言葉だったけど、案外いい提案かもしれない。

そう思った刹那、名良橋君が小さく呟いた。