16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

知らないままでいい。

夏という単語を出しただけでこんな反応をする、名良橋君は。



「そんなしんみりしないでよ!ただクラスメートが転校するだけでしょー」

「おま……お前がそれ言うか」

「何が?私、今から超楽しみなんだけど。次の移住先」



泣くな、笑え。

考えていることを表に出すな。

そう、自分に言い聞かせて会話を続ける。

そして名良橋君も、何かを堪えるように笑っていた。





「……美味しかった」



空になった器を見て、名良橋君は満足げに微笑んだ。

名良橋君が来てくれたお陰で、名良橋君の新たな一面が見れた。

それって少しむず痒いけど、嬉しいな……。



「名良橋君って、いいお兄ちゃんだね」

「何急に」