16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

「3!?」



予想外の答えに、私は思わず名良橋君を二度見した。

そんな私に気付かず名良橋君はケータイをいじり、それを私の前に差し出した。



「これ妹」

「わぁ、可愛い!しかも寝顔って、名良橋君どんだけ妹さんのこと可愛いの!」



熱があることも忘れ、ゲラゲラ笑い転げてしまう。

名良橋君が3歳の女の子のお兄ちゃんっていうだけでも予想外なのに。

それを言ったらきっと拗ねちゃうだろうから、言わないけど。



「今度会わせてよ、愛しの妹ちゃんに」

「るせぇよ。まぁ、機会があったらな」

「夏までにね」



そう言うと、名良橋君の動きが一瞬だけ止まった。

名良橋君は知ってる。

夏に、別れが訪れることを。

だけど名良橋君は知らない。

それが、一生の別れであることを。