「もう時間がない、その言葉で高野君もわかったでしょう?私、死ぬんだよ。それを名良橋君に言えって言うの……?」



高野君は、肩を震わせて黙り込んでしまった。

いや、震えていたのは私だったのかもしれない。

それとも、どっちも震えてたのかな。



「……死ぬなよ……。アイツを……名良橋を、1人にしないでやってよ……」



懇願するような声色で紡がれた言葉は、私に重くのし掛かった。

そして、悔やんだ。

関わるべきでなかったと。

こんな風に傷つけたくないから、家を離れたのではなかったのかと。

それでも、今更離れたりなんて出来なくて。



――ヴーヴー……

部室には、着信を知らせるバイブが虚しく響いていた。