16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

テーピングを均一な長さに切り、椅子に少しだけ貼っておく。



「ごめん、足洗えばよかった」

「ううん、中学のときも人のやってたし――」



ぽろり、そんな表現が一番似合う。

やってしまった、そう思っても言葉は取り消せない。

恐る恐る高野君を見上げると、案の定吃驚したような表情を浮かべていた。



「中学って……早坂さん、バスケしてたの?」

「え、いや……ちがっ……弟!弟がバスケ部で、怪我する度に私がしてたから……」

「へぇ、そうなんだ」



私……弟いないけどね……。

多少の罪悪感は感じつつ、納得してくれたようなので良しとする。



テーピングを貼り終え、救急箱を元の場所に戻すと、足元にボールが転がっているのに気付いた。