16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

高野君と先輩のからかいを笑顔で交わし、救急箱からテーピングを取り出す。

そんな私を余所に、高野君達は私と名良橋君の関係について語っていた。



「へぇ、由貴が他人のために動くなんて珍しいな」

「でしょ?俺も思ったんすよ、そう」

「友達以上、恋人未満ってヤツか」

「古いよその言い回し」



一度は必ず聞いたことのあるフレーズに苦笑がこぼれる。

そう言えば、私と名良橋君ってどんな関係なんだろう。

友達?

いや、違う気がする。

恋人……は100パーセントない。

じゃあ一体何?



「っと、時間やべぇ。予定あんだった。帰るわ」

「あ、俺も塾だわ。じゃあ、お先な」

「お疲れっす」



出て行く先輩に小さく頭を下げ、高野君の前にしゃがみこむ。

青くはなってないから、骨折とかじゃないみたい。