16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

冷やかすような声色に、私の熱は急上昇。

慌てて弁解するも、聞き入れてくれなかった。



私達の間に、そう言う感情が生まれることは――絶対にないのにね。



暫くして、練習が始まった。

ランニングから始まり、アップをしている。

ボックスパスだったり、1対1だったり……どれも、経験したことのあるメニュー。

ぼうっと眺めていると、隣から伊東君の揶揄に近い声が聞こえてきた。



「何々、見とれてんの?」

「そんなんじゃない、けど」

「けど?」

「……羨ましいなって」



捨てた筈の思いが、溢れる。

まだバスケがしたい、そんな言葉が口を衝いて飛び出しそうになり、慌てて堪えた。

言ったら、伊東君を困らせるだけだもん。