「いないよ、彼氏」



買ってきていたサンドイッチを頬張りながら答えると、伊東君の目が輝いた。



「じゃあ俺なんかどう!?」

「お前……」

「早坂さん、これただの戯言だと思っていいからね。コイツいつもこんなんだから」

「ふふっ、わかった」



自然にこぼれる笑顔、喉を通る食事。

こんなの、いつ振り?



「伊東のことは置いといて……早坂さん、中学のときとかは部活何してたの?」



瀬川さんの何気ない問い掛けに、私の動きは一瞬固まった。

その様子に気付くことなく、瀬川さんや高野君は私の言葉を待っている。

戸惑っていると、不意に頭に手が乗せられた。

……なんで、気付くかな。



「早坂の部活はあそ部でしたー」