あれから、名良橋君は私の前でかなり笑顔を見せるようになった。

そして、笑顔を返せるようになった。

関わり、名良橋君の心に触れてしまった私には、もう避けることが出来なくなってしまったから。



「早坂さーん、おいでー!」



高野君が手招きをしてくれたので、お昼が入ったコンビニ袋を持ってその輪へと近付いていく。

その場にいたクラスメートは、みんなにこやかに私を受け入れてくれた。



「ここ座りなよ!」

「そこ俺の席だぞ、おい」

「名良橋の言葉聞かなくていいからねー」



高校に入って初めての空気に、私は戸惑いつつも名良橋君のお陰で溶け込むことが出来た。



「ねぇねぇ、早坂さんって彼氏いんの!?」

「ちょっと伊東、がっつかないでよ。早坂さん困ってんじゃん、ね?」