と言う高野君の声が私の耳に届いて。

聞きたくない、と思うのに私の足はまるで石のように動かなかった。



「まぁ……。時間空いてたら、って誘おうと思って。用事行く途中だったらしくて無理だったけど」

「珍しいな、お前がそこまで他人に首突っ込むの」

「……似てんだよ、アイツ。いなくなる前の梨央に」



名良橋君達の声が遠くなっていく。

私は1人、その場に立ち竦んだまま2人の会話を頭の中でリピートしていた。

どうして、名良橋君は用事に行く途中だったなんて嘘を吐いた?

そんな名良橋君が珍しい?

いなくなる前の、“梨央”……?