だけどどうしても、言えない。



「迷惑なの!その気遣いも、何もかも!私には必要ない!」



失った温もりをもう一度知れば、私は今度こそ戻れなくなる。

死ぬことが酷く辛く思えて、死にたくないと誰かに縋ってしまいそうで。



「もう……関わんないで」



溢れそうになる涙を堪え、私は家の中へ逃げた。

玄関の壁に凭れ、唇を強く噛む。

駄目、泣くな私。



「……っふ……ぅあ……」



口元を押さえる手が、涙で濡れていく。

悔しい、それでも漏れる嗚咽を止めることは出来なくて。

私はただ、耳に残ってこだまする名良橋君の言葉を掻き消す術を探してたんだ。