読み終えた頃には、頬を涙が伝っていた。

漏れる嗚咽を堪えることが出来なくて、ただ唇を噛む。



「んだよ……!」



人の幸せばかり願って、自分のことは後回しで。

少し願えば、我が儘だと言って。

そんな早坂だから、俺は好きだったんだ。



「ぱぁぱ……」

「……大丈夫、どこも痛くないよ」



俺も早坂も口にすることはなかったけど、信じてもいいかな。

あの頃の俺達が、お互いになくてはならない存在だったと。

想い合っていたと。



「もう少し大きくなったら、バイクの後ろ乗せてやるよ」

「だ?」