パッと名良橋君を見ると、車椅子に座った名良橋君はふっと笑って。



「俺が車椅子な上に、3歳の子連れて回るのは大変だろうって、今日は梨央が預かってくれることになった」

「梨央さんが?」

「うん。由仁ちゃんによろしく、だとよ」



嬉しそうに微笑む名良橋君。

告白したって聞いてたけど、ギクシャクしてなくてよかったな。

そんなことを思いながら、車椅子の後ろに回り込む。



「大丈夫だぞ?腕鍛えられるし」

「筋トレは今度にしてください」



クスクスと笑いながら病室を出る。

名良橋君といると、不調も嘘みたいに思えてきた。



「電車でどれくらい?」

「んーと、2時間くらいかな。ビルとか何にもなくてね、海沿いの町がすっごく綺麗なの」