どれくらい経っただろう。

由羽ちゃんを連れて魂が抜けたように病院に向かった私は、ただ手術中のランプが消えない部屋の前で名良橋君の無事を祈っていた。

私が泣いたら、由羽ちゃんがもっと泣いちゃう。

その一心で、涙を堪えて。



「高野!早坂さん!」



その声に顔を上げれば、息を切らせた伊東君と高鴫さんが立っていた。



「名良橋が事故に遭ったって……」

「今名良橋どうなってんの!?」

「ちょ……高鴫、声荒げんなよ。名良橋の妹いるんだぞ」



高野君の制止に、高鴫さんはハッとしたように由羽ちゃんを見つめた。

由羽ちゃんは私にくっつき、服の裾をぎゅうっと握っている。



「ごめん……」

「名良橋はまだ手術中だよ。……トラックにぶつかったって」