それが、夏の訪れを示しているみたいで。

夏、その単語を認識したとき、私の中で警告音がけたたましく鳴り響いた。

駄目、今この手に縋っちゃ。

夏が訪れる、それは即ち私の命の終わりが近付いているということ――……。



「……ごめん、うち親厳しくてさ。真っ直ぐ家に帰ってきなさいって言われてるから……」

「じゃあ、土日は?それなら大丈夫でしょ?」



遠回しに拒んでもめげない彼女達に感心しつつ、私は頭をフル回転させてその場を乗り切る方法を考えていた。

病気だから関わらないで、そんなこと絶対に言えないし、言いたくもない。

何とか穏便に済ますことは出来ないのだろうか、と考えていると、隣でその様子を見ていた名良橋君がめんどくさそうに息を吐いて呟いた。