“由貴だけは私にくれたっていいじゃない”。
きっと梨央さんは、そう言おうとした。
「……由貴は絶対、渡さない」
梨央さんは黙ったままの私にそう言って、その場から立ち去った。
私には私の、名良橋君には名良橋君の過去があり、当たり前に私達はそれを知らない。
そんなこと、わかってた。
わかってた、つもりだった。
だけどいきなり知らない一面を突き付けられ、自覚したばかりの想いを殺せと言われ。
私の頭の中はこんがらがって、もう何もわからなくなった。
それから一週間後、私は漸く学校に復帰することが出来た。
教室に入るなり、瀬川さんと高鴫さんが駆け寄ってくる。
「早坂さん!もう大丈夫なの!?」
「うん、ただの貧血だから。心配かけてごめんね」
きっと梨央さんは、そう言おうとした。
「……由貴は絶対、渡さない」
梨央さんは黙ったままの私にそう言って、その場から立ち去った。
私には私の、名良橋君には名良橋君の過去があり、当たり前に私達はそれを知らない。
そんなこと、わかってた。
わかってた、つもりだった。
だけどいきなり知らない一面を突き付けられ、自覚したばかりの想いを殺せと言われ。
私の頭の中はこんがらがって、もう何もわからなくなった。
それから一週間後、私は漸く学校に復帰することが出来た。
教室に入るなり、瀬川さんと高鴫さんが駆け寄ってくる。
「早坂さん!もう大丈夫なの!?」
「うん、ただの貧血だから。心配かけてごめんね」



