16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

梨央さんのその言葉は、私の胸にずしりとのし掛かって。

きっと名良橋君が梨央さんを大切に思ってたのと同じように、梨央さんも名良橋君を想ってた。



「……ねぇ、由貴のこと……諦めてよ……」



そんなことを言われるとは思わず、私の表情は凍り付く。

次に投げ掛けられた声は、少し震えていた。



「聞いてるでしょ、うちの父親の借金のこと。苦しかった……つらかった!慣れない生活にも耐えた!それもストレスで倒れるまでね!」



梨央さんの瞳には、いつしか大粒の涙が浮かんでいる。

私は何も言えず、ただ悲痛な梨央さんの言葉を聞いた。



「私、もう沢山頑張ったよ。……だから、お願いだから由貴だけは……!」



梨央さんがその言葉の先を言うことはなかったけど、私には予想することが出来た。