16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

私は、どれくらい名良橋君の中にいるんだろう……。



「由仁ちゃん」



不意に名前を呼ばれ、真っ青な空から視線を移すと。

いつの間にか目の前に梨央さんが立っていた。



「梨央さ……」

「ちょっと話、いい?」



梨央さんは笑っていたけど、その笑顔が仮面だということに気付くのは安易なものだった。





梨央さんは私の隣に腰掛け、空を仰いだ。

その横顔からは、心情は読み取れない。

梨央さんと名良橋君……何を話したんだろ。

気まずい空気を振り切るように口を開こうとしたが、それよりも先に声が聞こえてきた。



「私と由貴の話は聞いてるんでしょ?」



“由貴”。

名良橋君も“梨央”って読んでるんだもん、当たり前だよ。

ちくりと胸に痛みが走ったことに気付かない振りをして、小さく頷く。