16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

病気のことを告げた日も、こんな風に私のために泣いてくれた。

それが、どんなに嬉しかったか。



「ごめんね……高野君」

「……」



高野君は何も答えず、私から体を離し、屋上を出て行った。

世界に取り残されたかのように静かなその場所で、私はただ呆然と空を見上げた。

知らぬ間に頬を伝っていた涙。



「……っう」



『……なんだ、そう言うことかよ』

そう言った名良橋君の表情が頭から離れない。

なんで、あんな顔してたの?

梨央さんと何かあった?

梨央さんとの再会が苦しかった?

名良橋君の心に、梨央さんはどれくらいいるんだろう。