16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

だけど、いいんだ。

自分を常に理解していなければならない決まりなんて、ないでしょう。



「早坂さん」

「ん……」

「確認しておくけど、アイツへの好きは……恋愛感情だよな?」



何を今更、と思わず笑みがこぼれた。

高野君の逞しい腕の中で、小さく頷く。



「うん、そうだね。……恋愛感情の、好きだよ」



私が呟いた、その瞬間――屋上の扉が小さく開いて。

まるで、抜け殻のような名良橋君がそこに立っていた。



「……なんだ、そう言うことかよ」

「名良橋、違う!」

「名良橋く……っ」



今の、聞かれてた?

名良橋君の突然の登場に、私の頭は真っ白になる。

だって、今高野君に抱き締められてて。

沢山泣いたからきっと顔はぐちゃぐちゃで――好きだなんて、呟いた。

その感情を、高野君へのものだと思われたかもしれない。