16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

高野君は苦しそうに、ぽつりと吐いた。

高野君の言葉は、思いは、全て私のためだと知っている。

ごめんね、高野君。

だけど、恋は自由だから。

だから、私は。



「私の恋は、名良橋君の幸せを願える恋にしたい」



名良橋君が笑っていればいい。

それを、天国から少しでも知れたらいい。

私との別れなんて、気にも留めていないように笑ってて。

それだけで私、きっと浮かばれるから。



「強いんだな、早坂さん」

「違うよ、強いのは私じゃない」

「……それでも、強いよ」



高野君の腕の中で、私は気付かれないように涙を流した。

いや、高野君なら気付いていたかもしれないけど。

この涙が、何に対しての涙なのかはよくわからない。