16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

……ううん、そうじゃない。

私が、認めたくなくて目を背けてるんだ。

そんなこと、あるわけないのにと。

目の前にし、否定し、逃げていた。



「……高野君」

「ん?」

「制服、涙でぐちゃぐちゃになっちゃうかもよ」

「いいよ」

「鼻水つけちゃうかもよ」

「大丈夫だよ。だからもう、強がりで笑うな」



高野君は、なんでこんなに優しいんだろうね。

その優しさが身に滲みて、私は張りつめていた糸が切れたように泣いた。



「やだ……なんで……っ!いなくなったって……」

「……うん」

「だから、あんなに……」



あんなに、“存在”に執着してた。

梨央さんがいたら、もう名良橋君は私の存在をあれほど確かめようとしたりはしなくなるんだろうけど。

それが、名良橋君のためなんだろうけど。