16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

私達以外誰もいない屋上にあるベンチに腰掛けた高野君は、私にその隣に座るよう促した。

断る理由もないので、言われるままに腰掛けてプルタブを開ける。



「……大丈夫」



半ば自棄になって飲み込んだ冷たいミルクティーが、何だか切ない。

『……梨央』

ついさっき聞いたばかりの名良橋君の声が耳にこだまし、目をぎゅっと瞑ると。



「早坂さん」



と、隣から名前を呼ばれて。

笑顔を取り繕い、顔を上げた刹那――いつかと同じぬくもりに包まれていた。



「高野、君……?」

「……無理しなくていいから。泣きたいなら、泣けばいい」



高野君は、全てを知っているかのようにそう言った。

私でも理解出来ていない、名良橋君への想い。