16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~

ざわ、と胸に黒い靄が掛かる。

そして、一瞬で脳裏に映し出された過去の記憶。



『お前……いなくなったりしねぇよな?』

『別に、悲しくなんかねぇよ。ただちょっと、悔しいだけ』



愛しさで溢れていた名良橋君の言葉が、今はナイフとなって私の心に突き刺さる。

そしてそのとき。



「早坂、大丈夫か?」



と、今一番来てほしくない人が病室に入ってきてしまった。

そして高野君と同様に、大きく見開かれた目。

点と点が、一本の線によって繋がってしまう――。



「梨央……」



苦しそうに呟かれたその名前に、梨央と呼ばれた彼女もまた、苦しそうに顔を歪ませていた。





「……大丈夫?」



そう言って手渡されたのは、ロビーの自動販売機に売っている冷たいミルクティーだった。